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執筆者の写真西愛礼

プレサンス元社長冤罪事件・国家賠償請求訴訟中間判決に向けた山岸忍氏の意見書全文

2024年10月29日、大阪地裁にてプレサンス元社長冤罪事件の冤罪当事者である山岸忍氏と弁護団が、責任論(国の行為の違法性)に関する中間判決に向けた意見陳述を行いました。


これまで弁護団は、準備書面において、次のとおり主張しています。


「本件は、大阪地検特捜部が単に誤ったという事件ではなく、客観的証拠におよそ整合しない不合理な「見立て」に基づいて、脅迫的取調べを用いることによって、あろうことか客観的証拠に整合していた供述を逆に客観的証拠に整合しない方向に誘導・操作したという事件である。そのようにして得た虚偽供述によって、砂上の楼閣ともいうべき原告の有罪を立証しようと試み、かつ、無罪の証拠を潰そうとしたのである。その意味で特捜部によって「作りあげられた」冤罪である。しかも大阪地検特捜部は、違法な取調べを認識しながらこれに目をつぶり、原告の逮捕を待つべきだとの進言も無視してこれを強行した。まさに「検察の暴走」というほかない事件であった。

本件で被告の主張を認める余地は存在せず、二度と同様の冤罪事件を生まないためにも、速やかに原告勝訴の判決が言い渡されるべきである。」


そして、検察官に対する付審判決定や最高裁による取調べ録音録画の文書提出命令を踏まえ、山岸忍は次のとおり意見を陳述しました(第1回期日における山岸氏の意見書はこちら)。


「3年前の昨日、私は無罪判決を言い渡され、晴れて、業務上横領事件の犯人という疑いから解放されました。

その後、当然、検察がこの冤罪事件についての謝罪や検証を行うだろうと思っていたら、何も起こらないまま半年ほど過ぎてしまいました。いぶかしく思った私が、元弁護人に対して「検察は何かしないのか」と確認したら、「するわけないじゃないですか」という素っ気ない答えが返って来ました。私は驚きました。「自ら起こした不祥事について検証しないなんて、民間企業ではあり得ない。だからこの人たちは、こういうわけのわからない冤罪事件を繰り返すんだ」と思いました。ですから私は、この国家賠償訴訟を起こしたのです。検察庁に自浄作用がないのであれば、私がやらねば、また同じような冤罪が起こってしまいます。どこにミスがあったのか、裁判という場で、公平中立な裁判所にご判断いただくことにしたのです。

 

裁判開始から2年半、ようやく地裁での審理の折り返し地点に近づきつつあります。

裁判を始めたとき、まさかこの裁判がこれほど長くなるとは思っていませんでした。

私が冤罪に巻き込まれたきっかけは、事件に関係する2人の人間が、それぞれ、取調べを受ける中で検察官に脅されたりしたことで「山岸も横領されることを知っていた」という嘘をついてしまったことにあります。この取調べは録音録画されていて、取り調べられている人間と取り調べている検察官が何をどう言ったかはすべて客観的に記録されていました。そして、私は、刑事手続の中で、この録音録画をすべて私の費用負担で文字起こししていました。だから、私の弁護士の手元にあるこの録音録画と反訳書さえ見ていただければ、裁判所も問題点を大体把握されるだろう、そう楽観的に考えていたのです。

しかし実際には、「刑事証拠の目的外使用禁止」というルールのせいで、私たちの手元にある取調べの録音録画は、国家賠償の審理のために裁判所にお渡しできませんでした。国は国で、「録音録画を見る必要なんてない」と言って、公共の財産であるはずの取調べの録音録画を隠そうとし続けました。結局、録音録画というこの裁判で最も重要な証拠を出すか出さないかで延々と争いが続き、この問題は最高裁にまで持ち込まれました。ようやく、先日、最高裁から「必要な分の録音録画は裁判に提出するように」とのご判断が下りましたが、この争いのために費やされた時間は実に2年半です。この争いのために、私の代理人も国の代理人も、見るのもうんざりするような大量の書面を作成していました。正直、信じられません。不毛すぎます。時間と手間と、何よりも税金の無駄です。

 

裁判を始めたときに予想していなかったことが、もう一つあります。何故冤罪が生まれたのかという検証を、国や検察が徹底的に妨害しようとしてきたことです。録音録画の提出が拒否されただけではなく、証人尋問で証言台に立った検察官は「記憶がない」などと曖昧な話をするばかりで事実をありのまま証言しようとはしませんでした。この冤罪が生まれた原因を解明するには、冤罪防止のための役職である「総括審査検察官」が捜査中にどういう風に活動していたのかを確定させる必要がありましたが、出廷した検察官は総括審査検察官の動きについて非常に曖昧なことしか言わず、国も総括審査検察官の名前を決して明かそうとはしませんでした。名前が分からなければ、総括審査検察官の証人尋問が出来ないからです。

このような国からの妨害があったためすべては解明しきれなかったものの、今までの裁判の中で、何故冤罪が生まれたのかについて多くのことを明らかにすることができました。

 

小田裁判長、大谷裁判官、伊藤裁判官に、改めて申し上げます。この裁判の場で明らかにされた事実を前提として、本件について、どうか公平かつ厳正なご判断をお願いいたします。」


「二度と同じような冤罪事件を起こしてはならない」という山岸氏の願いを実現すべく、その意見書を全文公開させていただいた次第です。




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